映画『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』公式サイト

INTRODUCTION

「私はいま本気で恋をしているだろうか…?」そんな問いかけを自分自身に投げかけたくなるような、太陽の光のように眩しく、夜空の星のように輝く、フレッシュなラブストーリーが誕生した。それは、2006年にYUI主演で大ヒットとなった日本映画『タイヨウのうた』をハリウッドが生まれ変わらせた『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』。少しでも太陽光にあたると命に関わる難病・色素性乾皮症(XP)と診断され、幼い頃から家の外に出ることができなかったヒロインの最初で最後の恋、17歳の本気の恋を描いた感動のラブストーリーだ。
 太陽の光にあたることができず夜しか外出できないケイティ、高校のスター・アスリートだったが怪我によって夢を諦めてしまった水泳部のチャーリー。ある夜、彼女の歌をきっかけに2人は出会い、急速に惹かれあい、情熱的な恋愛に身を投じていく──。17歳の2人が経験する初恋の甘酸っぱさ、互いを支え合いたいと思う心の強さは、観る者に本気の恋とは何かを語りかけ、恋する勇気を与えてくれるだろう。また、彼らの恋を温かく見守り応援する家族や友人たちの愛の深さにも感動する。  
 主人公のケイティを演じるのはベラ・ソーン。ディズニー・チャンネルのドラマシリーズ「シェキラ!」での演技力と歌唱力が評価され、グザヴィエ・ドラン監督の新作『The Death and Life of John F.Donovan(原題)』にも出演する逸材だ。今回は太陽の光にあたることができず毎夜ギターで弾き語りをすることを楽しみにしている17歳の少女を、生き生きと力強く演じきった。ケイティの歌声に惹かれ、彼女と恋に落ちる青年チャーリーを演じるのは、メジャー映画への出演は今回が初となるアーノルド・シュワルツェネッガーの息子、パトリック・シュワルツェネッガーだ。アスリートとしての挫折を味わいながらも、キュートな笑顔でケイティを支え、真っ直ぐに愛を注ぐチャーリーを好演した。  
 夜しか会えない2人が過ごせる時間は短く限られているが、だからこそ、どの瞬間も輝いている──。早くも今年最高のラブストーリーがスクリーンを席巻し、感動の涙で包み込む!

STORY

17歳のケイティ・プライス(ベラ・ソーン)は、幼い頃に太陽の光にあたれない難病・色素性乾皮症(XP)と診断され、太陽を避けて孤独に過ごしてきた。昼間は家から出られず、ギターを片手に曲を作り、詞を書いて日々を過ごしている。太陽が沈むのを待ち、暗くなってからギターを片手に駅前まで行き、通行人を相手に歌をうたうことが彼女の日課だ。
 ケイティの唯一の話し相手は、誰よりも愛情を注いでくれる父のジャック(ロブ・リグル)と、学校が終わると毎日のように家を訪ねて来てくれる親友のモルガン(クイン・シェパード)だけだったが、ある日、家の前を行き来するチャーリー・リード(パトリック・シュワルツェネッガー)を見て、ケイティは彼に恋をする。窓越しに見つめるだけの片想い。特別な遮蔽が施された窓から毎日、何年もチャーリーの姿を追いかけていた。自分も彼のように普通の人生を送ることができたら……叶わぬ願いを抱きながら。
 ケイティがいつものように地元の駅で演奏をしていると、その歌声に引き寄せられチャーリーが駅にやって来る。初めてケイティを見た彼は一目で彼女に夢中になる。17歳の夏、2人は星空の下で恋に落ちた。初めてのデート、初めてのキス、初めて行く場所と世界。会えるのは夜だけであっても、ケイティにとってはそのすべてが新鮮で輝いて見えた。しかし、ケイティは自分の病気を内緒にしたまま。「好きだから普通の女の子として彼と一緒にいたい」。その一途な想いは、彼らの周りの大切な人たちの人生も大きく変えていくのだった──。

CAST

1997年10月8日生まれ。ハリウッドで注目株の若手女優のひとり。ディズニー・チャンネルのヒットドラマシリーズ「シェキラ!」(10~13)で人気を不動のものにし、ドラマや映画、舞台だけでなく、モデルや歌手としても活躍する。人気ドラマ「プリティ・リトル・ライアーズ」のクリエーターだったマーレーン・キングの小説をもとにしたドラマ「Famous in Love」シリーズ(17)で主演を務め、グザヴィエ・ドランの英語での処女作『The Death and Life of John F.Donovan(原題)』(18)ではナタリー・ポートマンやキット・ハリントンらと共演している。その他、『アレクサンダーの、ヒドクて、ヒサンで、サイテー、サイアクな日』(90)、『子連れじゃダメかしら?』(14)、『タイラー・ペリーの出たぞ~! マデアのハロウィン』(16)、『ザ・ベビーシッター』(17)、製作と出演を兼ねた『ラストウィーク・オブ・サマー』(17)などに出演。スコット・スピアー監督の次回作『I Still See You』(18)でも主演を務める。また作家としても才能を発揮し、2014年には処女作「Autumn Falls」を発表、2016年には2作目となる「Autum’s Kiss」が敢行された。

1993年9月18日生まれ。父は著名な俳優で元ミスター・オリンピア、前カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー。母はピーボディ賞を受賞したジャーナリストで作家のマリア・シュライヴァー。彼らの長男としてロサンゼルスで生まれ育つ。南カルフォルニア大学の映画製作科を卒業。在籍中は学業と両立しながら俳優としての活動をスタート。映画『ハッピーエンドが書けるまで』(12)で映画初出演、その後、テレビシリーズ「スクリーム・クイーンズ」(15~16)、『マックス&エリー15歳、ニューヨークへ行く!』(16)、『ゾンビーワールドへようこそ』(15)、『アダルトボーイズ遊遊白書』(13)などに出演。本作が彼にとって初の主演作となる。また、フランチャイズ展開するピザ・ショップ「Blaze Pizza(ブレイズピザ)」の経営者でもあり、高校生のときには環境保護のための慈善団体、カジュアルウェアブランド「Project 360」も立ち上げている。

1979年4月21日生まれ。シャウニー・ミッション・サウス高校を卒業した後、カンザス大学に進学。演劇・映画科の学士を取得後、ウェブスター大学で行政学の修士号を取得。アメリカ海軍に所属していた1997年に、ニューヨークでコメディアンとしての経歴をスタート。俳優、コメディアン、作家、プロデューサー、そして監督という肩書を持ち、15年以上コメディ映画に欠かせない俳優として活躍している。代表作に『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(09)、『ミラクル・ニール!』(15)など。その他、『帰ってきたMr.ダマー バカMAX!』(14)や、日本ではNetflixで配信された『史上最悪の学園生活』『なりすましアサシン』(ともに16)などがある。映画界で不動の位置を築き上げているが、コメディー・セントラルの「ザ・デイリー・ショー」のレポーター役や「サタデー・ナイト・ライブ」にもレギュラー出演していた。

1995年2月28日生まれ。ニューヨーク市で生まれ、小さな頃からキャリアをスタートさせ、数多くの映画やテレビ番組に出演している。2006年、『エアポートアドベンチャー クリスマス大作戦』で注目を浴び、2013年にテレビシリーズ「HOSTAGE ホステージ」にレギュラー出演。その他には、テレビドラマシリーズ「ブラックリスト」(13~14)、「Believe/ビリーブ」(14)、「パーソン・オブ・インタレスト 犯罪予知ユニット」(14~15)、コメディドラマ「Almost There」(15)、映画『Windsor』(18)に出演。最近の作品には、A・D・カルヴォ監督の『Sweet Sweet Lonely Girl』(16)や、クロエ・グレース・モレッツと共演した『Miseducation of Cameron Post』(18)がある。待機作には『The Man in the Woods』がある。長編映画『Blame』(18)では出演だけでなく脚本と監督を兼任。また、監督・脚本・製作を兼ねた短編映画『Till Dark』は、2015年のモンクレー映画祭で上映されるなど、役者以外の活躍の場も広げている。

 

 

STAFF

1982年6月5日生まれ。南カルフォルニア大学の映像学部を卒業。ミュージックビデオやコマーシャル、テレビ番組の製作から映像監督としてのキャリアをスタートさせる。2012年、『ステップ・アップ4:レボリューション』で長編映画監督デビュー。続編の『ステップ・アップ5:アルティメット』では製作総指揮として参加している。『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』の後は、ミュージカル映画『ティーン・ビーチ・ムービー』シリーズでも知られるロス・リンチを主演に迎えたコメディ映画『Status Update』(18)の監督を務めるほか、ベラ・ソーンと再びタッグを組んだ最新作『I Still See You』(18)が待機している。小説家としても活躍するスコット・スピアーは、2012年にヤングアダルト小説「Immortal City」を上梓、翌年には「Natural Born Angel」を、そして2014年には三部作の最後を飾る「Battle Angel: An Immortal City Novel」を発表した。

名門のデューク大学とジョージタウンのロースクールを卒業後、ユニバーサル・ピクチャーズの映像開発グループで、アシスタントとしてエンターテイメントメディア業界でのキャリアをスタートさせる。その後、いくつものメディア関連の新規事業を共同設立する。その中にはウォルト・ディズニー・カンパニーの傘下に入ったファンツァーがあり、同社はESPN局とABC局で放映する大学バスケットボール番組を製作していた。彼にとって本作が脚本家としての1作目になるが、以前に書いた脚本『ライトハウス』は、映像化されていない脚本を投票で評価するプロジェクト「ブラックリスト」に掲載された。これからの活躍が楽しみな脚本家のひとりである。

1978年3月6日生まれ。何作もの長編映画の音楽を担当しており、シェイリーン・ウッドリーとアンセル・エルゴート共演の『きっと星のせいじゃない。』(14)、リリー・コリンズが出演する『ハッピーエンドが書けるまで』(12)をはじめ、『ファインド・ミー』(16)、『やさしい嘘と贈り物』(08)、『Wig Shop』(短編)などの音楽を手掛ける。アン・ハサウェイ主演の『ブルックリンの恋人たち』(14)は、ジェニー・ルイスとジョナサン・ライスと共同で作曲をした。彼はキーボードとトランペットの演奏家で、「ブライト・アイズ」というインディ・ロックバンドのメンバーであり、カーネギー・ホールやラジオ・シティ・ミュージック・ホール、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなどで演奏している。また、レッド・ホット・チリ・ペッパーズなどのツアーで演奏するほか、U2、ベック、ジェイソン・ムラーズなどのアルバム制作にも参加している。

PRODUCTION NOTE

ケイティ役に求められたのは、チャーリーが会った瞬間ひと目で恋に落ちるような、ゴージャスな美しさと親しみやすさを同時に兼ね備えているヒロインだった。幸運にもベラ・ソーンは「その全てを持っていたんだ」とスコット・スピアー監督。そして物語について「どこかおとぎ話のようでもある」と説明する。「脚本を読んだときに、外出禁止の現代版シンデレラの話だと感じたんだ。ケイティの場合は太陽の光をあびることができなくて、それは特殊ではあるけれど、どこか普遍性も感じた。誰もが通り過ぎる恋の経験を描いていると思ったんだ」。ケイティを演じるベラ・ソーンも「ケイティという役に魅かれ演じてみたいと思ったのは、これまで誰も語ったことのない話を伝えたかったからよ。XPという病気の存在を知らない人も多いわ。太陽の光をあびることなく世界から閉ざされたようなこのキャラクターを演じてみたかった。光を当てたかったの」と語る。幼い頃から子役やモデルとしてショービズの世界で活躍しているベラ・ソーンにとって、家の外に出られない女の子の心情を表現するにあたっては、彼女自身の人生を脱ぎ捨てリセットする必要があった。そうやって彼女はケイティを魅力的なヒロインに作り上げた。ケイティと恋に落ちるチャーリーを演じるパトリック・シュワルツェネッガーは、オーディションで役を勝ち取った。「何よりもこのラブストーリーに夢中になったんだ。僕の演じるチャーリーがケイティに希望を与えることで、自分自身が抱える問題を解決していくストーリーも素晴らしいと思った。チャーリーを演じるチャンスをもらえたことは、僕の俳優人生のなかでとても重要な出来事だったと思う」。また、チャーリーは水泳の選手ということで、彼は週に4回水泳を特訓し、アスリート並みに体を絞り、トレーニングと栄養補給で体型を維持する役づくりもこなした。

「音楽はこの映画の重要な側面の1つになっている」とスコット・スピアー監督は言う。「素晴らしいオリジナル音楽が奏でられるんだ。音楽を通してキャラクターを作っていくのはとても楽しかったし、ほかの映画では見ないようなキャラクターの表現法になっていると思う」。ベラ・ソーンはメインテーマ「Burn So Bright」をはじめ、ケイティとして何曲も弾き語りシーンに挑戦している。チャーリーと出会う駅前で歌う「Reaching」、彼とのデート途中に街の真ん中で歌う「Sweetest Feeling」、愛する人を想って作った「Walk With Me(チャーリーの歌)」、どの曲もケイティの人生と一瞬一瞬の感情が込められている。ベラ・ソーンは、脚本を読んだ段階では「これほど音楽が重要になるとは思っていなかった」と明かすが、彼女のために作られた歌を実際に聴きすべてを理解した。「彼女の作る音楽は彼女そのもので、音楽を通して彼女はすべてを、感情を表現している。ああ、これがケイティなんだって、歌を聴いて彼女の人生を理解することができたの」。ケイティの父ジャックを演じたロブ・リグルもベラを絶賛する。「ベラの歌声も曲もとても美しいんだ。誰もが曲を聴いたら心を掴まれると思うよ。撮影中はつねに彼女の歌う曲に感情が揺さぶられていたからね」。この映画の音楽を担当するのは、ネイト・ウォルコットだ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのツアーに参加するなど、数多くの有名アーティストと演奏し、映画音楽としては、『きっと星のせいじゃない。』『ハッピーエンドが書けるまで』『ブルックリンの恋人たち』などを担当している。

『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』の発端は、プロデューサーのジョン・リカードと彼のチームが優れた作品を探しているなかで、歌手のYUIが主演の日本映画『タイヨウのうた』と出会ったことだった。太陽の紫外線を浴びることのできない色素性乾皮症(XP)という難病を患っているヒロインであること、彼女がギターを弾き語りすることなど、オリジナルの要素はそのまま活かして新たなハリウッド版の脚本が出来上がった。しかしスコット・スピアー監督は、製作段階に入るまでは敢えてオリジナル版は見ないという選択をとった。「たとえオリジナルは日本の映画だとしても、1つの作品として息づくものを作りたかった。日本の『タイヨウのうた』を観たのは自分たちの映画の撮影が始まってからだったけれど、似ているところもあるし、そうでないところもあって、日本はこういう描き方をするのかと彼らの選択を見るのは楽しかったよ」。おとぎ話が好きだという監督は、日ごろからラブストーリー、王道にして元祖と呼べるようなラブストーリーから刺激を受けると言う。「たとえば『草原の輝き』(61)は繰り返し観ているけれど、何度観ても古びることはないんだ。僕もそういうラブストーリーを撮りたいと思っていた。他にもたくさんあるけれど、初恋(や純愛)の感情を新鮮な感性でとらえた映画で言えば、バズ・ラーマン監督の『ロミオ&ジュリエット』(96)と『ムーラン・ルージュ』(01)、フランス映画『シェルブールの雨傘』(64)も僕にとっては重要な映画だ。その系譜に属する映画を作ることを目指して、今回の『ミッドナイト・サン』を撮ったんだ」。また、“闇なくして光はない”というフレーズがあるように、監督は光と闇にもこだわった。ケイティの生きる夜=闇の世界と、チャーリーの生きる昼=光の世界、そんなキャラクターの置かれた環境としての闇と光、そして個々のキャラクターが抱える心のなかの闇と光だ。もちろん映像的にもその2つは対象的に、でも共存するものとして描かれている。

REVIEW

誰にでも“泣ける”映画はある。親子の絆に感動する人もいれば、動物ものに弱い人もいる、スポ根もの、大きな使命のために闘う姿やチームが団結して苦難を乗り越えていくもの……涙腺のツボは人それぞれだ。そのなかで誰もが泣いてしまう題材があるとしたら、命と向きあう作品ではないだろうか。『ミッドナイト・サン 〜タイヨウのうた〜』はそれに当てはまる映画だ。
『ミッドナイト・サン』は日本映画『タイヨウのうた』のリメイクだ。ヒロインが色素性乾皮症(XP)という難病を抱えて生きていること、好きな人とひと夏の最高の思い出を作ること、ギターと歌で感情を語っていることなど設定はほぼ同じではあるが、リメイクというよりもXP という共通の運命を背負った別のヒロインの物語と言うほうがしっくりくる。
今回のヒロイン、ケイティを演じるのはベラ・ソーン。彼女と恋に落ちるチャーリーを演じるのはパトリック・シュワルツェネッガー。キャスティングは最初にベラ・ソーンが決まった。ベラの相手役のオーディションを受けたパトリック・シュワルツェネッガーは、彼女との相性判定があったと語っているが、たしかに2人のバランスはいい。とてもいい。ソーンもシュワルツェネッガーも幼い頃から注目を浴び、華やかな世界に身を置いているセレブリティであるのに、この映画で演じるケイティとチャーリーにはそのセレブ感がない。いい意味でない。それがいい。本当にナチュラルな17歳を演じている。だから泣ける(おそらく四分の一は泣いていた)。そこまで感情を揺さぶられた理由のひとつは、ソーンとシュワルツェネッガーが100%役として生きていたからだ。私生活におけるスキャンダルやゴシップを感じさせないほどケイティとチャーリーだったということだ。
『タイヨウのうた』を観たときには感じなかったことを『ミッドナイト・サン』で感じた。それはスコット・スピアー監督も語っていることだが、この映画の根底にあるのは、シンデレラやラプンツェル、人魚姫の物語であることだ。何らかの理由で閉じ込められているヒロインが、恋をすることで行動的になり、恋の相手が外の世界に飛び出すチャンスと勇気を与えてくれる。ケイティは、家の前を毎日通る青年チャーリーに恋をして、10年間、窓際から彼を見つめていた。そして17歳の夏に、ついに彼と出会う。10年も思いを寄せていた人に声をかけられ、しかも一目惚れされる、なんてロマンチックだろう。出来すぎな出会いとしてではなく運命的な出会いとして、すうっと観客の心に入ってくるのは、やはりケイティの待ち続けた10年があるからだ。いや、待ち続けたのではなく、ただ彼を想い続けていただけ。その真っ直ぐさに心を打たれる。共感というよりも、応援に近い感動なのかもしれない。
また、勇気を与えあう、支えあう関係性もいい。昼間に外出することのできないケイティは確かに囚われの身だが、自分の命の期限を知っているからこそ“今”を生きようとする。もの凄くポジティブだ。もちろん想像もつかない辛さを乗り越えてのポジティブなのだろうけれど。この物語の根底にはシンデレラの物語があると言ったが、それはチャーリー自身にも言える。何からも囚われることなく自由に生きることができるのに、チャーリーはケガで水泳選手の道を断念し、暗闇を生きている。心が囚われている。そこから救い出してくれたのがケイティだった。彼女は太陽の光をあびることはできないが、真っ暗な夜のなかで輝く星であり、太陽のような煌めく存在。チャーリーが、実は暗闇に生きているからこそ彼女を見つけることができた。
ケイティの最期の決断にも意味がある。闇に覆われた夜のなかで命尽きるのではなく、愛する人と太陽の下で、光のなかで尽きることをケイティは選ぶ。それは自分自身のためでもあるが、輝く自分の姿を彼の記憶に残したかったというのもあるのではないだろうか。彼のために。そんなケイティの姿を見て受け取ったのは、本当の意味で生きるとはどういうことなのか、という大きな問いかけと、本当に誰かを愛することはこういうことなのだ、という真っ直ぐで深い愛の形。自分はちゃんと生きているのだろうかと問いかけ、ケイティとチャーリーのように恋をしていたいと思った。
人が泣きたいと思うときは、勇気や支え、気づきが欲しいとき。そんなときは『ミッドナイト・サン ~タイヨウのうた~』を思い返して、泣こうと思う。